糖尿病の有無にかかわらず、血糖値が急激に上昇する「スパイク」が起きると、体にはさまざまな異変が現れる。糖尿病のない人の場合、症状は一時的なものだが、糖尿病患者にとって高血糖(過血糖)状態が続くことは非常に危険。だからこそ、血糖値を即座に下げるための戦略を知っておくことは極めて重要だ。

デューク大学医学部助教授で内分泌学者のベアトリス・ホン医学博士は次のように警鐘を鳴らします。「短期的には、高血糖を放置すると糖尿病ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖状態といった、入院が必要な深刻な事態を招くリスクがあります。長期的には、高血糖が続くほど合併症のリスクが高まります。糖尿病は全身疾患であり、目、腎臓、神経、足、心臓などにダメージが蓄積していくのです」

専門家の紹介:ベアトリス・ホン医学博士: デューク大学医学部助教授、内分泌学者。ロレナ・ライト医学博士: ワシントン大学准教授、UW糖尿病研究所の内分泌学者。

    血糖値が高いサインを見逃さない

    血糖値が高いかどうかを知る最も簡単な方法は血糖測定器(グルコメーター)を使うことですが、体にもサインが現れる。ライト博士によると「血糖値が非常に高くなると、腎臓が糖を排出しようとして水分を必要とするため、尿の回数が増えます」とのこと。それに伴う脱水症状から、強い喉の渇きを感じることもあるという。

    他にも、めまい、手のしびれ、倦怠感、さらに重症化すると吐き気や嘔吐、腹痛が現れることもある。特に診断を受けていない人の場合、視界のかすみや、意図しない体重減少が続くときは要注意だ。

    血糖値を迅速かつ安全に下げる4つのステップ

    1. インスリンや服用薬を確認する

    インスリンを使用している場合は、投与漏れがないか、ポンプが正常に作動しているかを確認するのが最優先。ホン博士は「インスリンは血液中の糖を細胞に運び、エネルギーとして利用させるシャトルの役割を果たします。インスリンを適切に使うことで、血中の糖分を減らし、細胞に燃料を届けることができます」と説明する。

    また、経口薬を飲み忘れた場合も、気づいた時点で服用することが基本です。ただし、メトホルミンなどの薬はインスリンほど即効性はないため、日常的なスケジュール管理が重要になるという。

    2. 水を積極的に飲む

    「ジュースではなく、水を大量に飲んでください」とライト博士は強調する。高血糖のとき、体は過剰な糖を尿と一緒に排出しようとするため、常に脱水状態に陥っている。水を飲むことで、システムを洗い流し、血液中のグルコース濃度を薄める助けになる。

    3. 軽い運動を取り入れる

    体にインスリンがあり、吐き気がない場合は、20分程度のウォーキングが効果的。いくつかの研究のよると、食後に中程度のウォーキングを行うだけで、血糖値を20~30%低下させることが示されている。筋肉が燃料としてグルコースを消費するためだ。スクワットなどの軽い運動も有効だが、ケトアシドーシスに近い状態での運動は危険なため、体調が悪いときは控えるべき。

    血糖値を上げる意外な要因とは?

    食事(特に白パン、ジャガイモ、白米などの高GI食品)以外にも、血糖値を上げる要因は潜んでいる。

    • インスリンのトラブル: ポンプのチューブのねじれや、高温の車内に放置して効果が落ちたインスリンの使用など。
    • 病気やストレス: 風邪、インフルエンザ、胃腸炎などは、体へのストレスとなり血糖値を上昇させる。また、一部のステロイド薬、精神病薬、スタチン、ベータ遮断薬などの服用が影響することもある。
    • ホルモンバランス: 1型糖尿病の女性の場合、月経周期によって血糖値が変動することがある。

    医師の診察を受けるべきタイミング

    1型糖尿病の方は、常にケトン体測定チップを携帯し、高血糖や体調不良時に尿ケトンが陽性であれば、すぐに救急外来を受診して。

    また、糖尿病の型にかかわらず、激しい吐き気、嘔吐、深刻な腹痛、意識の混濁、混乱などの症状がある場合、あるいは水を飲んだりインスリンを投与したりしても血糖値が下がらない場合は、迷わず医師に相談を。

    本記事の情報は、健康情報の提供を目的としたもので、特定の医学的効果を保証するものではありません。持病がある方や体調に不安のある方は、自己判断せず、必ず速やかに医師の診断を受けてください。

    ※この記事はPreventionの翻訳をもとに、ウィメンズヘルス日本版が編集して掲載しています。研究結果やデータは、すべてオリジナル記事(米国版)に基づいたものです。