40代からの筋力トレーニングは、単に若さを追い求めるためのものではない。それは、未来の自分への投資だ。筋肉を鍛え、骨を守り、この先何十年も自立した生活を送るための強固な土台作りとなる。
「若いうちに始めておけばよかった」と後悔する必要はない。40代でウェイトを持ち上げるという決断は、あなたの健康の軌跡を劇的に変える可能性を秘めている。「イギリス版ウィメンズヘルス」より、更年期を見据えた世代が優先すべき4つのエクササイズと、その重要性を専門家が解説する。
<専門家の紹介>
リア・ジョージズ(Leah Georges):パーソナルトレーナー。サルコペニア(加齢性筋肉減少症)の予防や、女性のライフステージに合わせた筋力トレーニングの指導を専門としている。
ケイト・ロウ=ハム(Kate Rowe-Ham):フィットネスコーチ、更年期サポートプラットフォーム「Owning Your Menopause」創設者。更年期世代の女性が自信を持ち、自立した生活を送るための筋力維持を提唱している。
なぜ40代女性に「筋肉」が必要なのか?
「私たちは加齢とともに、何もしなければ自然と筋肉を失っていきます」と話すのは、パーソナルトレーナーのリア・ジョージズ氏。
この現象は「サルコペニア(加齢性筋肉減少症)」と呼ばれ、階段の上り下りや椅子から立ち上がるといった日常動作を困難にするだけでなく、転倒や怪我のリスクも高めてしまう。
「女性は30代から10年ごとに最大8%の筋肉量を失い始め、40代以降はエストロゲンの減少によりそのスピードが加速します」。エストロゲンは筋肉の修復や関節の健康、骨密度、インスリン感受性に重要な役割を果たしているため、その分泌が不安定になると、リカバリーの遅れや関節のこわばり、脂肪の蓄積を感じやすくなるのだ。
しかし、希望はある。学術誌『Archives of Gerontology and Geriatrics』に掲載された研究によれば、レジスタンストレーニング(筋トレ)は筋肉量と筋力を有意に向上させ、サルコペニア対策として極めて有効であると結論づけられている。
40代のデビュー戦で取り入れるべき「基本の4種目」
フィットネスコーチで「Owning Your Menopause」の創設者、ケイト・ロウ=ハム氏が推奨する、40代女性の武器となる4つの動きを紹介しよう。
1. スクワット:日常を支える最強の動き
「スクワットは人生そのもの」とロウ=ハム氏。座る、立つ、階段を上るといった動作の基盤となる。「骨密度が低下し始める時期だからこそ、骨盤や脊椎に負荷をかけ、股関節や膝を強化することが重要です」。最初は椅子に座って立ち上がるだけの動作でも十分。慣れてきたらダンベルを追加してみよう。
やり方: 足を腰幅に開き、椅子に座るようにお尻を後ろに引く。太ももが床と平行になるまで下げたら、かかとで地面を押し、元の位置に戻る。
2. デッドリフト:背面を守り、姿勢を整える
股関節を折り曲げる「ヒンジ」の動きを習得する種目。お尻(臀筋)と太ももの裏(ハムストリングス)を鍛え、安定性を高める。「多くの女性が長年、股関節の代わりに背中を使って動いてしまいがちですが、そのツケが回ってくるのが中年期です。正しいヒンジを学ぶことで、本当に必要な筋肉を強化できます」。
やり方: 足を腰幅に開き、両手にダンベルを持つ。背中を真っすぐに保ったまま、お尻を後ろに突き出すように股関節を曲げ、ダンベルを脛のあたりまで下ろす。お尻を締めながら元の位置に戻る。
3. プッシュアップ(腕立て伏せ):肩の健康を維持する
女性は上半身の「押す力」が急速に低下しやすい傾向にある。「荷物を持ち上げる、押す、運ぶといった日常動作に欠かせません」。標準的な腕立て伏せが難しい場合は、膝をついたり、壁に手をついて行ったり、段差を利用して高い位置に手を置くことで負荷を調整しよう。
やり方: 手を肩幅より少し広めにつき、頭からかかとまで一直線にする。肘を曲げて胸を床に近づけ、一時停止してから押し戻す。
4. ロウイング:現代生活への処方箋
デスクワークやスマホ操作で丸まりがちな背中をリセットする。「背中上部を鍛え、猫背を防ぎ、肩の安定性をサポートします」。ダンベルやケトルベルがない場合は、水の入ったペットボトルでも代用可能だ。
やり方: 両手にダンベルを持ち、上半身を45度ほど前傾させる。背中を平らに保ち、脇を締めたまま重りをおへその方へ引き寄せる。
40代からの筋トレ「成功のルール」
ロウ=ハム氏は、「量は質を上回らない」と強調する。
頻度は週2〜4回: 体を酷使しすぎず、筋力を維持・向上させるにはこれで十分。
リカバリーを最優先: 睡眠、タンパク質の摂取、休息日が体の反応を左右する。更年期前後は筋肉よりも腱や靭帯の適応に時間がかかるため、無理な増量は禁物だ。
体の声を聞く: ホルモンバランスの変化で絶好調の日もあれば、そうでない日もある。「いつ追い込み、いつ休むか」を見極めるスキルを養おう。
日本の読者へのアドバイス
日本では「細いこと」が美徳とされがちだが、40代以降は「動ける体」こそが最高の資産。自宅で行うなら、まずは1kgのダンベルやペットボトルからで大丈夫。日本の住環境に合わせて、音が響かないようヨガマットを敷いて行うのもおすすめ。
※この記事はイギリス版ウィメンズヘルスからの翻訳をもとに、ウィメンズヘルス日本版が編集して掲載しています。






